講演①「寂厳の書状をひもとく」
講師:増田孝氏(愛知文教大学前学長、書跡史学者)
江戸時代中期の真言宗の僧侶寂厳は、元禄15年(1702)、備中足守藩藩士の子として生まれました。俗姓は富永氏。字(あざな)は諦乗(たいじょう)。備中都羅島(つらじま)宝島寺(ほうとうじ)の住持となった能書家です。梵字(サンスクリット)の研究を深め、明和8年(1771)8月3日70歳をもって遷化しました。講演では、寂厳の書簡二通を読みときながら、その書から何がくみ取れるのかをお話したいと思います。
増田 孝略歴
愛知東邦大学客員教授。公益財団法人永青文庫評議員。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」鑑定士。主な著書に『光悦の手紙』、『茶人の書』、『書の真贋を推理する』、『古文書・手紙の読み方』、『書は語る 書と語る-武将・文人たちの手紙を読む-』(2010年風媒社)、『本阿弥光悦-人と芸術』(2010年東京堂出版)など。
講演②「寂厳と細井広沢」
講師:魚住和晃(きび美ミュージアム副館長、神戸大学名誉教授)
寂厳ほど無原則に書し、かつ書することをこよなく楽しんだ人はありません。しかも、その自由で気ままな書を、鞆(とも)の浦に立ち寄った朝鮮通信使を通じて、朝鮮王国に贈呈しようと企てたほどの自信家でもありました。いったい寂厳は書に何を求め、何をよりどころにしたのか。それを寂厳がひたすらにあこがれた、江戸の儒者であり書学者としても知られる、細井広沢の存在に結びつけて考えます。
魚住 和晃略歴
1946年生、三重県出身。東京教育大学卒業、同大学院修士課程修了。文学博士。神戸大学名誉教授、安田女子大学客員教授、孫文記念館館長、きび美ミュージアム副館長。著書は「張廉卿の書法と碑学」(研文出版)「書聖王羲之―その謎を解く」(岩波書店)など多数。「マンガ書の歴史」(講談社)全3巻の主編として知られる。
日時:12月4日(日)13:30~(開場12:30)
場所:倉敷公民館大ホール
聴講料:1500円(きび美ミュージアム入館チケット付)
※要予約。
※当日、作品の鑑定などはいたしません。
※駐車場はありません。公共交通機関か近隣の駐車場をご利用ください。